集客支援の講座を作ろうとしていたとき、手が止まりました。
「動画を作って、1本目、2本目、3本目と順番に見てもらえばいい」。最初は、そう考えていたんです。
でも、実際に支援している経営者の方々を思い浮かべるほど、どうしても順番を決められませんでした。
なぜだろう。
考えていて、ようやく気づきました。
ここがポイント
受ける人のスタート地点が同じなら「カリキュラム型」。
スタート地点がバラバラなら、先に「診断型」です。
何を教えるかを決める前に、その人が「今どこにいるのか」を知る必要があります。
講座を作ろうとして、手が止まりました
動画にまとめて、順番に見てもらう。
そうすれば、一度作った教材を何人もの方に届けられます。
教える側から考えると、とても効率的です。
ところが、実際にカリキュラムを組もうとすると、私は何度も迷いました。
「これを1本目にしていいのかな」
「でも、この人には必要ないよね」
「こっちの人は、もっと前から始めないと分からないかも」
そこで気づいたのです。
受ける方が、同じスタート地点にいない。
問題は、教材の内容ではありませんでした。
「全員に同じ順番で教えよう」としていたことだったのです。
持っているものが、人によってまったく違う
たとえば、商工会などでお会いする経営者の方を思い浮かべてみます。
- ホームページはあるけれど、SNSは何もしていない方
- Instagramは熱心にやっているけれど、ホームページがない方
- Googleビジネスプロフィールを登録しただけで止まっている方
- LINE公式アカウントを作ったものの、一度も配信していない方
- 全部持っているけれど、それぞれがつながっていない方
同じ「集客に困っている経営者」でも、現在地はこれだけ違います。
この5人に、同じ動画を同じ順番で見てもらったらどうなるでしょう。
たとえば1本目が「ホームページの作り方」だったとします。
ホームページがない方には、ちょうどいい。
でも、すでにホームページを持っている方にとっては、今は必要のない30分になります。
そこで「これは自分には関係ないな」と思われたら、2本目まで進んでもらえるとは限りません。
必要な情報がないのではなく、「必要な情報までたどり着く前に離脱してしまう」ことがある。
順番を決められるのは、前提が揃っているとき
もちろん、カリキュラム型が悪いわけではありません。
むしろ、とても向いている場面があります。
学校の授業を考えると分かりやすいです。
足し算を学んでから、掛け算へ進む。
順番を作れるのは、学ぶ人たちの前提がある程度揃っているからです。
資格試験の勉強も、これに近いと感じました。
私は50歳で生成AIの資格試験を受けました。
教材は最初から順番に進めました。
この場合は、それでよかった。
学ぶ範囲とゴールが決まっていて、必要な知識を順番に積み上げられるからです。
ところが、経営者の集客支援は違います。
10年間事業を続けている方と、来月開業する方が同じ場所にいることもあります。
ホームページがある人も、ない人もいる。
SNSが得意な人も、ほとんど触ったことがない人もいる。
現在地が違うのに、全員に同じ地図を同じページから読んでもらおうとしていた。
私が講座づくりで迷っていた理由は、そこでした。

忙しい経営者に「宿題」が向かないこともある
もうひとつ、現場で感じることがあります。
経営者の方は、とにかく本業が忙しい。
工務店なら現場があります。
飲食店なら仕込みがあります。
サロンなら、お客様への施術があります。
その方に、
「この動画を見て、次回までに宿題をやってきてください」とお願いしても、なかなか進まないことがあります。
これは、やる気の問題だけではありません。
本業を終えたあとに、新しいことを学ぶ時間と気力がどれだけ残っているか。
ここを無視できないのです。
だから私は、「どうすれば、もっと勉強してもらえるか」ではなく、「どうすれば、勉強する量を増やさなくても前へ進めるか」を考えるようになりました。
経営者が欲しいのは「勉強」ではなく「前進」かもしれない
相談を受けていると、「全部教えてください」よりも、「結局、うちは何からやればいいですか?」と聞かれることがあります。
この違いは大きいと思っています。
知識を増やすことが目的なのではありません。
今の状態から、一歩前へ進みたい。
そのために、自社に必要なことを知りたいのです。
ここで視点を変えました
「何を教えるか」から考えない。
「どこで止まっているか」から考える。
これが、カリキュラム型から診断型へ考え方を変えた理由です。
診断型は「どこで詰まっているか」から始める
診断型では、全員に同じ順番で教えるところから始めません。
まず、その会社の集客がどこで止まっているのかを見ます。
たとえば、集客の流れを大きく4つに分けて考えます。
| 詰まっている場所 | 状態 | まず見るところ |
|---|---|---|
| 認知 | そもそも知られていない | SEO・MEO・SNS・紹介などの入口 |
| 興味 | 見られているが「もっと知りたい」につながらない | 投稿内容・カバー画像・プロフィール |
| 信頼 | 「この人に頼んで大丈夫?」という不安が残る | 実績・お客様の声・考え方・プロフィール |
| 申し込み | 興味はあるが、次に何をすればいいか分からない | 相談の流れ・ボタン・案内文・問い合わせ方法 |
人によって、詰まっている場所が違います。
知られていない会社に、「申し込みボタンをもっと目立たせましょう」と言っても、そのボタンを見る人がいません。
反対に、すでに多くの人に見られているのに問い合わせがない会社へ、「もっと発信しましょう」と言うのも違います。
すでに頑張っているところを、さらに頑張らせることになるからです。
必要なのは努力の追加ではなく、詰まっている場所の特定かもしれません。

教えることと、進めることは違う
ここまで考えて、いちばん腑に落ちたのがこの違いでした。
教えることと、進めることは別の仕事です。
| カリキュラム型 | 診断型 | |
|---|---|---|
| 向いている相手 | 前提・ゴールが揃っている | 現在地がバラバラ |
| スタート地点 | 決められた1番目から | 現在地の確認から |
| 渡すもの | 共通して必要な内容 | 今必要な内容を優先 |
| 受ける側の負担 | 学習時間・課題が必要 | まず現状を整理する |
| 提供する側 | 仕組み化しやすい | 個別に見る手間がかかる |
カリキュラム型には、仕組み化しやすいという大きなメリットがあります。
だから、なくす必要はありません。
大事なのは、どちらが優れているかではなく、どちらを先に使うかです。
現在地がバラバラなら、まず診断する。
そこで共通して必要な学習が見つかったら、動画や教材を使う。
この組み合わせなら、教材も無駄になりません。
診断するとき、最初に聞きたい3つの質問
もし、あなたが経営者やお客様に何かを教える立場なら、カリキュラムを作る前に確認してみてください。
「この人たちは、本当に同じところから始まっているだろうか?」
もし違うなら、私はまず次の3つを聞きます。
step
1
いま持っているものは何ですか?
ホームページ、Instagram、Googleビジネスプロフィール、LINEなど、現在持っている集客の入口や接点を確認します。
step
2
その中で、実際に動いているものはどれですか?
「持っている」と「使えている」は別です。作ったまま止まっているものも含めて確認します。
step
3
お客様は、どこで止まっていると感じますか?
知られていないのか。見られているけれど興味を持たれないのか。信頼まで届かないのか。申し込みの直前で止まるのか。
この3つを聞くだけでも、最初に渡すものは変わります。
そして受ける側にも「これは自分の話だ」と思ってもらいやすくなります。
まとめ|「何を教えるか」より先に「どこにいるか」を見る
この記事のポイント
- スタート地点が揃っているなら、カリキュラム型が向いている
- 現在地がバラバラなら、先に診断型で詰まりを見つける
- 忙しい経営者には、学ぶ量を増やすより「今必要なこと」を絞った方が進みやすい
- カリキュラム型と診断型は二者択一ではなく、組み合わせることもできる
- 良い教材を作る前に、相手がどこにいるかを見る
私は講座を作ろうとして手が止まったことで、この違いに気づきました。
「何を教えればいいだろう」と考えているうちは、順番が決まりませんでした。
でも、「この人はいま、どこで止まっているんだろう」と考えると、最初にやることが見えてきます。
Mikkeでは、会社ごとの現状を整理しながら、「選ばれる理由」「選ばれる導線」「選ばれる仕組み」を順番に整える支援をしています。
「いろいろやっているけれど、何から直せばいいのか分からない」という段階からご相談いただけます。
よくある質問
Q. カリキュラム型と診断型、結局どちらがいいですか?
どちらが優れているという話ではありません。
受ける人の前提やゴールが揃っているならカリキュラム型、現在地がバラバラなら診断型から始めると考えると分かりやすいです。
Q. 動画教材は必要ないのでしょうか?
いいえ。動画教材が向いている内容もあります。
たとえば、基本操作や設定手順など、誰が取り組んでも大きく順番が変わらない内容です。
診断で必要なものを絞ってから、その部分の教材を渡すという使い方もできます。
Q. 自分で集客の詰まりを診断できますか?
まずは「認知・興味・信頼・申し込み」の4段階で考えてみてください。
たとえば、そもそも知られていない・見られていないなら「認知」。
見られているのにプロフィールや詳しい情報へ進まれないなら「興味」以降に詰まりがある可能性があります。
「もっと発信する」と決める前に、どこまでお客様が進んでいるかを見ることが第一歩です。
Q. 診断したあとは、何から直しますか?
優先順位を決めて、まず影響の大きい詰まりから見直します。
一度に全部変えてしまうと、何が改善につながったのか判断しにくくなります。
「全部直す」より、「まずここを直す」と決めることが大切です。