「AIが便利なのは分かるけれど、うちには関係ないかな」
個人事業主や小さな会社の方と話していると、こんな言葉を聞くことがあります。
大きな会社なら使う仕事がたくさんありそう。
ITに詳しい人ならできそう。
でも、自分の仕事はそこまで大したことをしていないから。
実は私も、最初は「自動化するほどの量はない」と思っていました。
ところが、自分が毎週やっていることを書き出してみたら、見え方が変わりました。
AIを使うほどの仕事がないのではなく、AIに任せられるほど小さな仕事を「仕事」として数えていなかったんです。
この記事でお伝えしたいこと
AI活用の最初の一歩は、大きな仕組みを作ることではありません。
毎週、何となく繰り返している小さな作業を1つ見つける。
そこからで十分です。
Webマーケティングに26年携わり(フリー歴15年)これまで700名以上のクライアント様を支援してきました。
「うちの会社にAIなんて」という記事を読んで、ちょっと引っかかった
2026年8月19日、ITmedia AI+に「『うちの会社にAIなんて』――謙遜する中小企業に眠る伸びしろ」という記事が掲載されていました。
OpenAIが、日本でも法人向けのパートナー網を広げているという内容です。
その中で紹介されていたのが、地方の中堅・中小企業では、AIを提案すると、
「こんなうちの会社にAIなんて」
「AI以前に、ITもそんなに使えていないから」
という反応が少なくない、という話でした。
でも、記事の中では逆の見方が紹介されています。
大きなIT投資ができなかったからこそ、これまで諦めてきたことが社内に残っている。
そこをAIで自分たちでも作れるようになれば、仕事のやり方を変えられる可能性がある。
……これを読んで、私は「そうなんだよな」と思いました。
AIを使う仕事がないのではありません。
小さすぎて、改善する対象だと思っていなかった仕事がある。
私自身がそうでした。

「うちには関係ない」の中身を分けてみる
AIの話をしたときに出てくる「うちには関係ない」という言葉。
私は、だいたい3つに分けて考えています。
「うちには関係ない」の中にある3つの思い込み
- 「自動化するほど仕事量がない」
→ 小さな繰り返し作業を数えていない - 「うちみたいな規模では無理」
→ 大企業のほうがAI活用に向いていると思っている - 「私はITに詳しくない」
→ 分からないことを自分で全部調べなければならないと思っている
でも、この3つ。
どれも「AIに向いていない理由」ではありません。
まだ、自分の仕事に当てはめて確かめていないだけかもしれません。
①「量がない」は、小さな作業を数えていないだけだった
私も「自動化するほどの量はない」と思っていました。
そこで、普段やっていることを細かく書き出してみました。
すると、こんな作業が出てきました。
- 記事を書く前に、似たようなことを調べる
- 画像のサイズを整えて、ファイル名を付け直す
- 予定を見返して、今日やることを並べ直す
- 送った連絡と、まだ返事が来ていないものを思い出す
一つひとつは、大した作業ではありません。
5分だったり、10分だったり。
だから、私自身も「効率化するほどではない」と思っていたんです。
でも、毎週何度もやっています。
しかも、終わったと思ったら、また来週やる。
量がなかったのではなく、小さすぎて数えていなかった。
ここに気づいてから、AIを見る目が少し変わりました。
「何かすごいことをAIにやらせよう」ではなく、
「またこれをやっているな」
と思った仕事を、AIに渡せないか考えるようになりました。
② 小さい事業だからこそ、すぐ試せる
もう一つ、私が思い込んでいたことがあります。
「AIは、大きな会社のほうが活用しやすいだろう」ということです。
もちろん、大企業には人材も予算もあります。
一方で、小さな事業には別の強みがあります。
決めたら、すぐ試せることです。
ひとりで仕事をしていれば、
「この作業、AIに任せられないかな」
と思ったその日に試せます。
うまくいかなければ、やめればいい。
少し使えそうなら、直してもう一度試す。
会議を開いて、承認を取って、大きなシステムを入れるところから始める必要はありません。
小さいことは、AI活用では弱点ではなく「試すまでが速い」という強みになります。
最初から会社全体を変えようとしなくていいんです。
まず、自分の30分を変える。
そのくらいでいいと思っています。
③「詳しくない」より、「何を楽にしたいか」が大事
AIを使うには、パソコンやプログラムに詳しくないといけない。
そう思っている方もいます。
でも、私が実際にやっていることは、もっと普通です。
「こういうことをしたい」と、日本語で伝える。
分からない言葉が出てきたら、
「それはどういう意味?」
「初心者にも分かるように説明して」
と聞き返します。
以前だったら、分からない言葉が一つ出てくると、そこで検索して、別の記事を読んで、また知らない言葉が出てきて……。
気がついたら、最初に何を調べていたのか分からなくなる。
私は、これが結構ありました。
今は、分からないところでそのまま聞き返せます。
私にとって大きかったのは、「全部分かってから始めなくてもいい」と思えるようになったことです。

最初に自動化したのは、すごい仕事ではありませんでした
では、何から始めればいいのか。
ここで最初から、
「AIエージェントを作ろう」
「会社の業務を自動化しよう」
と考えると、一気に難しくなります。
私が最初に自動化したのは、もっと小さなものでした。
私が最初に自動化したこと
毎朝のニュースを、決まったフォルダに保存する。
それだけでした。
これだけなら、売上が急に増えるわけではありません。
劇的に仕事が変わるわけでもありません。
でも、実際に動いたときに、
「あ、こういうことも任せられるんだ」
と思いました。
そこからです。
「じゃあ、これも?」
「毎週やっているあれは?」
と、任せられそうな仕事が見えるようになってきました。
最初の一歩の役割は、大きな成果を出すことではなく、「自分でも動かせる」と分かることです。
AIに何を任せるか迷ったら「繰り返している仕事」を探す
AIで何ができるかを調べ始めると、できることが多すぎて、逆に分からなくなります。
だから、私は順番を逆にしたほうがいいと思っています。
AIにできることを探すのではなく、自分が繰り返していることを探す。
たとえば、
- 毎朝やっている
- 毎週やっている
- 毎月やっている
- 毎回、同じ順番でやっている
- 「またこれか」と思う
こんな仕事です。
全部をAIに任せられなくても構いません。
調べるところだけ。
整理するところだけ。
下書きを作るところだけ。
一部分だけでも、人がやる仕事は軽くなります。
今日やるなら、この3つだけ書いてみてください
AIの勉強を始める必要はありません。
新しいツールを契約する必要もありません。
紙でも、スマホのメモでも大丈夫です。
AI活用の最初の3問
- 今週、2回以上やった作業は何ですか?
- その中で、毎回ほぼ同じことをしている部分はどこですか?
- それが自動で終わったら、その時間で何をしたいですか?
私は、3つ目が意外と大事だと思っています。
時間が空けば楽になると思っていたのですが、実際には、空いたところに別の仕事を入れてしまうことがありました。
これでは、効率化したはずなのに、ずっと忙しいままです。
だから、
お客様と話す。
新しい企画を考える。
早く仕事を終える。
家族との時間にする。
何でもいいので、「空いた時間を何に戻すのか」まで決めておく。
AIを使う目的は、AIを使うことではありません。
自分の時間を、自分が本当に使いたいところへ戻すことです。
よくある質問
Q. 何のAIツールから始めればいいですか?
ツールを決める前に、楽にしたい作業を1つ決めることをおすすめします。
「この作業を楽にしたい。どういう方法がありますか?」とAIに相談するところからでも始められます。
道具を先に決めるより、目的を先に決めたほうが迷いにくくなります。
Q. お金をかけないと始められませんか?
最初から大きな費用をかける必要はありません。
無料で試せるAIサービスもあります。
まず小さな作業で試し、「これは仕事で継続して使えそう」と分かってから、有料プランや自動化サービスを検討するほうが安全です。
Q. パソコンに詳しくなくてもできますか?
できます。
ただし、最初から「何でも自動化できる」と考えないほうがいいです。
まずはAIとの会話で、文章作成、整理、調査、アイデア出しなど、小さな仕事を一つ楽にするところから始めてみてください。
分からない用語が出たら、その場でAIに説明してもらえます。
Q. AIで失敗するのが怖いです。
最初は、失敗しても事業に影響しない仕事を選びます。
顧客への自動送信や重要な判断をいきなり任せるのではなく、情報整理や下書きなど、人が最後に確認できる仕事から始めるのがおすすめです。
小さく試して、確認して、使える範囲を少しずつ広げます。
まとめ|「うちなんて」と思うところに、伸びしろがある
この記事のポイント
- 「AIを使うほど仕事がない」と思っていても、小さな繰り返し作業が隠れていることがある
- 個人事業主や小さな会社には、思いついたらすぐ試せるという強みがある
- AI活用は、IT用語を全部覚えてから始める必要はない
- 最初から大きな自動化を目指さず、失敗しても困らない小さな仕事から試す
- 「AIで何ができる?」より、「私は何を繰り返している?」から考える
「うちにはAIなんて必要ない」
そう思っている人ほど、一度だけ、今週やった仕事を書き出してみてください。
5分。
10分。
毎週やっている。
毎回ほぼ同じ。
そんな小さな仕事が見つかったら、そこが入口です。
伸びしろというのは、まだ手をつけていない場所のこと。
だから「うちなんて」と思っていた場所にこそ、意外と大きな余白が残っています。
AIを「勉強する」より、自分の仕事で1つ動かしてみたい方へ
何から始めればいいか分からない段階でも大丈夫です
Mikkeでは、AIツールの機能をたくさん覚えることより、「いま自分がやっている仕事の、どこをAIに任せられるか」を一緒に整理することを大切にしています。
集客、ホームページ、SNS、日々の情報整理。
まずは、毎週繰り返している仕事を一つ見つけるところから。
「AIを使いたいけれど、何から始めればいいか分からない」という段階からご相談いただけます。
参考
ITmedia AI+「『うちの会社にAIなんて』――謙遜する中小企業に眠る伸びしろ OpenAIがパートナー網拡充、新規3社が語る」(2026年8月19日)