「AIをちゃんと社内に定着させるなんて、大企業だからできること」
そんなふうに思っていませんか?
先日、長野県のみそメーカーの事例を見つけました。
(出典:キーマンズネット)
創業108年、情報システムの担当はわずか3人という体制ながら、Gemini(ジェミニ)の利用率は86%を超えているそうです。
ここがポイント
AIが社内に定着するかどうかは、会社の大きさだけで決まるわけではありません。
「何を導入するか」より、「どんな順番で広げるか」。
この事例から見えてきたのは、そこでした。
アカウントを配れば使われるわけではない
これまで支援してきたクライアントの中にも、「ツールを導入したのに使われないまま止まっている」という悩みを抱えている企業がありました。
生成AIも同じです。
アカウントを社員に配ったからといって、翌日からみんなが仕事で使い始めるわけではありません。
配って終わりでは、ただ「持っているだけ」の状態になってしまいます。
では、少ない人数でAI導入を進める会社は、何から始めればいいのでしょうか。
情シス3人の会社が、どうやって86%までたどり着いたのか
この事例で私が注目したのは、最初から全社で一気に使わせようとしなかったことです。
進め方を整理すると、大きく3つあります。
step
1
まず、使うためのルールを決める
最初は「会社の情報を入力しない」という安全側のルールからスタートし、慣れてきてから少しずつ使える範囲を広げていきました。
step
2
いきなり全社員ではなく、小さく始める
最初から全社員に広げるのではなく、経営陣と社内から手を挙げた11人でスモールスタート。
さらに、経営トップ自身が使う姿を見せています。
step
3
一度教えて終わりにしない
AIは間違った回答をすることもあると伝えたうえで、「必ず自分の目で確認する」という使い方を共有。
勉強会や定期的なニュースレターを通じて、継続して学べる機会をつくっていました。
数字で見ると
利用率は、最初の33%からスタート。
その後、1年後には約80%、さらに半年後には86%超まで伸びたそうです。
最初から86%だったわけではありません。
小さく始めて、使いながら広げていった結果です。

大企業だからできた話ではなかった
この事例を読んで、私がいちばん引っかかったのはここでした。
これは、規模の話ではない。
情報システムの担当者が3人という体制でも、ここまで利用を広げています。
やったことを見ていくと、派手なことではありません。
- いきなり全社に配らず、少人数から始める
- 経営トップ自身が使ってみる
- AIは間違えることもあると最初から伝える
- 一度の研修で終わらせず、学ぶ機会を続ける
大事なのは「導入したか」ではなく、「使い続けられるところまで設計したか」なのだと思います。
ここは、AI導入を考える中小企業にとって、とても大きなヒントです。
「うちは小さいから」と思っていたら
「うちは小さい会社だから、AIの本格導入なんてまだ早い」
そう感じている経営者の方もいると思います。
でも、小さい会社だからこそできることもあります。
最初から100人を動かす必要はありません。
まず2人、3人でもいい。
実際の仕事で使ってみる。
困ったところを共有する。
使える方法が見つかったら、次の人へ渡す。
AI導入は「全社員に配ること」から始めなくていい。まず小さなチームで、実際の仕事に使える形を1つ作る。
大きな予算や専門チームの有無よりも、小さく試して、学んで、次へ広げる。
この順番の方が、中小企業には現実的なのではないでしょうか。
では、自社なら何から始める?
ここまで読んで、「うちでもやってみようかな」と思ったら、いきなり全社員分のアカウントを用意する必要はありません。
まず、次の3つを決めてみてください。
step
1
AIを試す仕事を1つ決める
議事録、文章の下書き、情報整理など、日常的に繰り返している仕事から1つ選びます。
step
2
最初に試す人を決める
人数よりも、「実際に使って、良かったことも困ったことも共有してくれる人」を選びます。
step
3
試した結果を共有する場を決める
一度使って終わりにせず、「何に使えたか」「どこで困ったか」を社内で共有できるようにします。
この3つなら、大きなAI導入計画を作らなくても始められます。
まとめ|AI定着は「配ること」ではなく「使い続けられる仕組み」を作ること
この記事のポイント
- 生成AIのアカウントを配るだけでは、社内に定着するとは限らない
- 今回の事例では、少人数から始めて段階的に利用を広げている
- ルールを決め、トップも使い、継続して学ぶ機会を作っている
- 重要なのは会社の規模より、「使い続けられるところまで設計する」こと
- 中小企業なら、まず1つの仕事・少人数から試すところから始められる
AI導入というと、どうしても「どのAIを契約するか」「何人分のアカウントを用意するか」に目が向きます。
でも、本当に考えたいのはその先です。
社員が実際の仕事で使い、「これなら使える」と感じるところまでどう運ぶか。
そこまでが、AI導入なのだと思います。
こんな段階からご相談いただけます
「AIのアカウントは用意したけれど、社員がほとんど使っていない」
「研修をしたけれど、その後どう社内に広げればいいか分からない」
Mikkeでは、AIツールの使い方だけでなく、実際の仕事のどこから使い始めるかという導入の整理からご相談いただけます。
中小企業のAI導入・定着でよくある質問
Q. 少人数から始める場合、何人くらいがいいですか?
人数だけで決める必要はありません。
実際に使ってみて、良かったことだけでなく「ここで困った」も共有してくれる人から始める方が大切です。
今回紹介した事例では、経営陣と社内公募の11人からスタートしています。
Q. AIが間違えると伝えると、社員が使わなくなりませんか?
むしろ、「AIの回答は必ず正しい」と思わせないことが大切です。
AIは間違える可能性があること、そのため重要な内容は人が確認することを、最初から使い方の一部として共有しておきます。
Q. 経営者自身もAIを使った方がいいですか?
社員に利用を勧めるのであれば、経営者自身も一度は実際の仕事で使ってみることをおすすめします。
「使ってください」と言うだけではなく、自分でも使ってみる。
そうすると、便利な点だけでなく、社員がどこで迷うのかも見えやすくなります。