「AIを使わない人は、ただ興味がないだけ」
私はずっとそう思っていました。
でも今日、生活者3万人を対象にした調査の記事を読んで、その見方が少し変わりました。
調査では、生成AIを現在利用している人は33%。
つまり、約3分の2はまだ利用していない人たちです。
ただ、その「使っていない人」を詳しく見ていくと、同じ理由で止まっているわけではありませんでした。
ここがポイント
「AIを使わない人」という一つの層がいるわけではありません。
興味がない人。
よく分からない人。
興味はあるけれど始めていない人。
一度使ったけれど続かなかった人。
止まっている場所が違えば、必要な声かけも違います。
参考:MarkeZine「生成AIを使わない67%の人たちの実態とは?3万人調査から浮かび上がる『4つの壁』とインサイト」
「使わない人」をひとまとめに見ていた
これまで支援してきた方の中にも、AIをまだ使っていない方は少なくありません。
「AIはちょっと苦手で……」
「興味はあるんですけど、まだ触っていなくて」
そんな話を聞くこともあります。
私はそれを、どこかで「興味がないから」「面倒だから」と、ひとまとめに見ていたところがありました。
でも今回の調査を読んで、同じ「使っていない」でも、止まっている場所は違うのだと気づきました。
AIを使わない人の前には「4つの壁」がある
調査では、生成AIの非利用者・離脱者を理解するために、「4つの壁」という考え方で整理しています。
step
1
そもそも関心がない
AIそのものに必要性を感じていない段階です。
step
2
興味はあるけれど、よく分からない
生成AIという言葉は知っていても、「結局、自分の仕事で何に使えるの?」という段階です。
step
3
イメージはできるけれど、まだ始めていない
使ってみたい気持ちはある。でも、最初の一歩まで進んでいない段階です。
step
4
一度使ったけれど、続かなかった
試した経験はあるものの
「思ったほど便利じゃなかった」
「使いどころが分からなかった」
などの理由で離れている段階です。
ここで大切なのは、数字そのものよりも「AIを使わない」という一つの行動の裏側に違う理由があるということです。
これを知ると社内でAIを広げるときの見方も変わってきます。

同じ声かけでは届かない相手がいる
ここが、今回いちばん腑に落ちたところでした。
たとえば、AIそのものに関心がない人に、
「ChatGPTはこんなことができます」
「こんな新機能が追加されました」
と一生懸命説明しても、なかなか届きません。
必要なのはAIの説明ではなく、
「毎週やっているこの作業、少しラクにできるかもしれませんよ」
という、その人の仕事との接点かもしれません。
一方、「興味はあるけれど、よく分からない」
という人には、難しい機能の説明よりも実際の仕事でどう使えるかを見せたほうが分かりやすい。
そして、一度使ったけれど続かなかった人には、もう一度「AIって便利ですよ」と説明しても、あまり意味がありません。
なぜ続かなかったのか。
そこを一緒に見たほうがよさそうです。
相手がどの壁の前にいるかによって、必要な言葉も、必要な支援も変わります。
これは社内のAI導入でも同じだと思う
以前、企業で社員向けのAI研修をしたことがあります。
研修では使い方を説明しました。
その場では「便利ですね」という反応もありました。
ところが、その後、実際の仕事で使う人はほとんど増えませんでした。
そのときは「研修をしたのに、なぜ使わないんだろう」と思ったものです。
でも今振り返ると、全員を同じ場所にいる人として見ていたのかもしれません。
ChatGPTが普及し始めてすぐの頃だったということもあり
- 興味がない人
- 何に使えばいいか分からない人
- 使ってみたいけれど、最初の一歩が怖い人
それぞれ違いがあることに気づきませんでした。
その後、検索エンジンの中にもAI機能が入り始めると、少しずつ使う人が出てきました。
「AIを勉強する」という特別な入口ではなく、いつも使っているものの延長線上にAIが現れたからです。
人が動かないとき、本人の意欲だけを問題にしない。
入口の作り方が合っていなかった可能性もある。
今回の「4つの壁」を見て、私はそこを改めて考えさせられました。
「今さら遅い」のではなく、壁が違うだけ
AIをまだ使っていないことを、
「もうみんな使っていますよね」
「今さら聞くのは恥ずかしくて」
と話す経営者の方もいます。
でも、私は遅い・早いの問題ではないと思っています。
ここも大事です
AIを使っていないから「遅れている」のではありません。
いくつかある壁の、どこかの前にいるだけです。
自分がどこで止まっているのかが分かれば、次にやることはずっと小さくできます。
AIに関心がなければ、無理にAIから始めなくてもいい。
「この仕事、面倒だな」というところから考えればいい。
何ができるか分からなければ、自分の仕事を一つだけAIに相談してみればいい。
始めるのが怖ければ、メールの下書きや文章の要約など、失敗しても困らない仕事から試せばいい。
一度使って続かなかったなら、「なぜ続かなかったのか」を一度だけ振り返ってみる。
壁が分かれば、越え方も変えられます。
まとめ|「AIを使わない人」は一種類ではない
この記事のポイント
- 生成AIを使っていない人は、ひとまとめにはできない
- 関心・理解・最初の体験・継続など、止まっている場所が違う
- 壁が違えば、必要な説明や声かけも変わる
- 社員がAIを使わないときも、「本人のやる気」だけを原因にしない
- 「今さら遅い」ではなく、今いる場所から一歩を決めればいい
群馬県・埼玉県北部の中小企業でも、「AIを導入したいけれど、社員によって温度差がある」という相談はこれから増えていくと思います。
そのとき、全員に同じ研修をする前に、「この人は、どこで止まっているんだろう?」と見てみる。
それだけでも、AIの広げ方はかなり変わるはずです。
AI活用、どこから始めればいいか分からない方へ
Mikkeでは、ツールを一方的に教えるのではなく、今どこで止まっているのかを整理し、実際の仕事の中で使えるところを一緒に探すところからご相談いただけます。
よくある質問
Q. 自分がどの壁の前にいるか、どう見極めればいいですか。
まずは、
「興味がない」
「何に使えるか分からない」
「使ってみたいけれど始めていない」
「以前試したけれど続かなかった」
これらのうち、どれがいちばん近いかを考えてみてください。
大切なのはAIの知識量ではなく、自分がどこで止まっているかを知ることです。
Q. 一度AIを試して続かなかった場合、もう一度挑戦する意味はありますか。
あります。
ただし、同じ使い方をもう一度繰り返すのではなく、「なぜ続かなかったのか」を先に確認してみてください。
仕事との接点がなかったのか、操作が難しかったのか、期待した結果が出なかったのか。
理由によって次の試し方が変わります。
Q. 社員がAIを使ってくれないときにも、この考え方は使えますか。
使えます。
全員を「AIを使わない社員」として見るのではなく、それぞれがどこで止まっているのかを確認してみてください。
必要性を感じていない人と、使いたいけれど使い方が分からない人に、同じ説明をしても届き方は違います。