AIに調べ物を頼むとき、つい「できるだけ詳しく幅広く調べて」とお願いしたくなりませんか?
私もAIを使い始めた頃は、たくさんの情報を集めてくれること自体に便利さを感じていました。
でも、実際の仕事で使うようになると情報が多いだけではその後の判断につながらないことがあります。
今は「何を・どこまで・どんな基準で調べるか」を先に決めてからAIにリサーチを任せるようにしています。
先日、Gemini(ジェミニ)の「Deep Research」について意外と知られていない3つの使い方を紹介する記事を読みました。
読みながら「これ、うちのリサーチ部(AI従業員)でやっていることと同じ発想だ」と思ったので今回は自分の仕事と重ねながら紹介します。
この記事でお伝えしたいこと
AIリサーチは、たくさん調べることが目的ではありません。何の判断に使うのかを決め必要な範囲と出力方法を指定することで仕事に使いやすい情報になります。
AI従業員の「リサーチ部」を作っています
私は普段、GeminiではなくClaude Code(クロード コード)を使っています。
ライバル調査や週次のSEO・LLMO動向チェックなどはAIの中に「リサーチ部」という役割を作って任せています。
といってもAIに「何か役立つ情報を探しておいて」と丸投げしているわけではありません。
たとえばライバル調査なら対象となるアカウントや確認したい項目を先に決めます。
SEO・LLMO(検索結果に上位表示するため)の動向チェックなら、どの分野の情報を追うのか何を確認したいのかを整理してから実行します。
調べる作業はAIに任せても何のために調べるのかは自分で決める。
この役割分担が私の仕事では大切になっています。
今回読んだ記事で紹介されていた3つの使い方も、ツールの機能そのものより「リサーチをどう設計するか」という点が参考になりました。

使い方①|長い調査結果を「使う人に伝わる形」に変える
AIに調べてもらうと長いレポートが返ってくることがあります。
詳しく調べてくれるのはありがたいのですが、そのままでは読むのに時間がかかります。
自分が理解するための資料なら長文でもよいのですが、誰かに共有する場合は、それだけでは伝わりにくいこともあります。
私も同じ悩みがあったので調べた内容を1枚の図解に変換するやり方を別の作業として組んでいます。
ここで大切なのは単に文章を短くすることではありません。
「この資料を見た人に何を理解してほしいのか」を決めてから見せ方を変えることです。
たとえば複数のAIツールを比較した調査なら、長い説明文よりも「用途・特徴・注意点」を並べた表のほうが判断しやすい場合があります。
業務の流れを説明するなら文章よりフロー図のほうが伝わることもあります。
もちろん図解にすれば必ず分かりやすくなるわけではありません。
細かな条件や根拠が必要な場合は元のレポートも残しておくことが大切です。
リサーチの出口を「長文レポート」だけにせず誰が何に使うのかに合わせて表・図解・要点整理などに変える。
使い方②|調べる対象を絞って、必要な情報を深く見る
「Web全体を広く調べて」と頼むとさまざまな情報が集まります。
新しいテーマの全体像を知りたいときには便利ですが特定の相手について判断したいときには関係のない情報まで混ざることがあります。
私がライバル調査を頼むときは「このアカウントだけ」「この3〜5件だけ」というように対象を絞って渡しています。
たとえばInstagramの競合調査なら漠然と「同業者の人気投稿を調べて」ではなく対象アカウントを指定し、どの投稿をどんな観点で確認するのかを決めます。
そうすると集まった情報を自分の発信や集客の判断に使いやすくなります。
ただし最初から対象を狭めすぎると重要な競合や新しい動きを見落とす可能性もあります。
全体像を知りたいときは広く特定の相手を深く知りたいときは絞る。
目的によって使い分けるのがよいと思います。
自分のホームページを調べることにも使える
この考え方は競合調査だけではありません。
たとえば自分のホームページを対象にして「情報が古くなっていないか」「サービスの説明がページによって違っていないか」「問い合わせまでの案内が分かりにくくないか」を確認してもらうこともできます。
Web全体を調べるのではなく自分のサイトという限られた範囲を目的を持って調べるわけです。
ただしAIが確認できるページや情報には限りがあります。
サイト全体を調べたつもりでも取得できていないページがあるかもしれません。
重要な修正をする前には対象ページや根拠を確認することが必要です。
こんな頼み方から始められます
「この3つの競合サイトを対象に、サービス内容・対象者・料金の案内・問い合わせ導線を比較してください。確認できた事実と、そこから考えられることは分けて整理してください。」
対象と確認項目を決めるだけでも漠然とした調査より次の判断につなげやすくなります。
使い方③|外の情報ではなく自分の記録の中を調べる
3つ目はWebの外に新しい情報を探しに行くのではなく自分がすでに持っている記録の中を調べるという使い方です。
私で言えば、これまで書いたデイリーノートや過去のお客様とのやり取りの記録がそれにあたります。
仕事をしていると「あのとき、どう考えてこう決めたんだっけ」と思うことがあります。
以前に調べたことや試した結果をもう一度確認したいこともあります。
そんなとき記憶だけを頼りに探すのではなくAIに記録の中を横断して調べてもらうという使い方ができます。
ただしAIが必ず正確に見つけてくれるわけではありません。
記録の範囲や検索方法によっては見落としや取り違えも起こり得ます。
重要な判断に使う場合は元の記録を確認することが必要です。
それでも新しい情報を外から集めるだけでなく、すでにある自分の一次情報を掘り起こすという発想は、これからますます大切になると感じています。
自分の経験を次の仕事に使える形にする
たとえば過去のデイリーノート(AIで自動生成している日報)から
「AIを使って困ったこと」
「試してうまくいかなかったこと」
「その後やり方を変えたこと」を探してもらう。
そうすると忘れていた経験が次の記事や研修内容を考える材料になるかもしれません。
これはAIに新しい経験を作ってもらうこととは違います。
自分が実際に経験したことをもう一度使える形に整理するということです。
私自身、記事を書くときにも一般論だけでなく自分が実際に何を経験し、そこから何に気づいたのかを大切にしています。
過去の記録を調べることは、その材料を見つける助けにもなります。
AIリサーチは外の情報を集めるだけではない。
自分の記録を整理し過去の経験を次の判断や発信に活かすことにも使える。

3つに共通しているのは「目的に合わせて絞ること」
今回の3つの使い方を自分の仕事に置き換えてみると、共通しているのは「何でも調べてもらう」のではなく目的に合わせてリサーチを設計していることです。
step
1出力する形を決める
長いレポートが必要なのか、比較表がよいのか、1枚の図解にしたいのか。誰が何に使うのかを考えて出口を決めます。
step
2調べる対象を決める
市場全体を広く見るのか、競合3社を比較するのか、自分のサイトだけを確認するのか。
目的に合わせて範囲を決めます。
step
3探す場所を決める
Web上の公開情報を調べるのか、自分のデイリーノートや社内資料を調べるのか。
必要な情報がどこにあるのかを考えます。
そしてもう一つ大切なのが「何の判断に使うためのリサーチなのか」です。
たとえば「競合を調べたい」だけでは何を集めればよいのか曖昧です。
でも「自社のAI研修ページを改善するために群馬県内の競合が対象者・研修内容・料金・実績をどう案内しているか比較したい」と決めれば、調べる対象も項目もかなり具体的になります。
AIに任せる前に、ここを考える。
私はこの一手間が、リサーチを仕事に使えるものにするうえで重要だと思っています。
自分の仕事なら何を絞ればいいだろう
AIリサーチというと専門的な調査や大きな市場分析を想像するかもしれません。
でも最初からそこまでやる必要はありません。
たとえば個人事業主なら「近隣の競合3社のサービス案内を比較する」。
小さな会社なら「自社のホームページで古くなっている情報を確認する」。
研修担当者なら「社内でAIを使えそうな業務をまず一つの部署に絞って整理する」。
こうした小さな調査でも次の行動を決める材料になります。
大切なのはAIにどれだけたくさん調べさせるかではなく調べた結果を自分の仕事のどんな判断につなげたいのかを先に考えることです。
「AIに何を聞けばいいか分からない」というときほど、まずは「今自分が決めたいことは何だろう」と考えてみると頼み方が見えてくるかもしれません。
まとめ|AIリサーチは調べる前の設計で変わる
AIは幅広い情報を集めることも特定の対象を深く調べることもできます。
どちらがよいかは目的によって変わります。
今回紹介した3つの使い方は長い調査結果を使いやすい形に変えること、調べる対象を絞ること、自分の記録の中を調べることでした。
私が普段使っている「リサーチ部」でも、共通しているのは「何を・どこまで・どんな基準で調べるか」を先に決めてから実行をAIに任せるという考え方です。
AIに仕事を任せることと何のためにその仕事をするのかを決めることは別です。
まずは今の仕事で「調べたいこと」を一つだけ思い浮かべてみてください。
そして「その結果を使って何を決めたいのか」まで考えてみる。
そこが決まるとAIへの頼み方も変わってくると思います。
AIを自分の仕事にどう使えばいいか迷っている方へ
MikkeではAIツールの操作方法だけでなく今の仕事のどこにAIを使えるか、何を人が判断し何をAIに任せるかというところから一緒に整理しています。
「AIに何を聞けばいいか分からない」「調べてもらっても、その後どう使えばいいか分からない」という段階からでもご相談いただけます。
よくある質問
Q. Geminiを使っていないと、この方法はできませんか?
いいえ。「目的に合わせて調査範囲や出力方法を決める」という考え方は、Gemini以外のAIでも活用できます。私自身はClaude Codeで同じ発想の仕組みを作っています。ただし、利用できる機能や、Web・社内資料へのアクセス方法はツールや契約プランによって異なります。
Q. AIリサーチでは、何から絞り込めばいいですか?
まずは「何を決めるために調べるのか」を一つ決めるのがおすすめです。そのうえで、競合1社、自分のサイト1つ、特定の業務1つというように対象を絞ると、調べる項目も考えやすくなります。
Q. 自分の記録をAIに調べさせるのは不安です。
その不安は大切にしたほうがよいと思います。AIに記録を渡す前に、利用するサービスのデータの取り扱い、保存先、アクセス権限、学習への利用設定、社内ルールなどを確認してください。お客様の個人情報や機密情報を含む場合は、必要に応じて匿名化や情報の除外を行い、許可された範囲で利用することが重要です。まずは機密情報を含まない自分専用のメモなど、小さな範囲から試す方法もあります。
Q. AIが調べた結果は、そのまま仕事に使っても大丈夫ですか?
重要な判断に使う場合は、元の情報や根拠を確認することをおすすめします。AIは情報を見落としたり、古い情報を混ぜたり、内容を取り違えたりすることがあります。特に料金、制度、法律、契約条件などは、公式情報や原資料で確認することが大切です。
参考記事:Gemini「Deep Research」の意外と知らない3つの使い方 【資料作成から社内検索まで】(Web担当者フォーラム)